全て抱いて、今は飛べ | セピア色の心電図

全て抱いて、今は飛べ

深呼吸すると、胸の底が痛くなる。

ずっと触れずにいた自分の闇に直面し、彼はその場で立ちすくんでいた。僕は彼の横顔を見て、笑顔とも泣き顔とも取れない表情をしていたと思う。僕も途方に暮れていた。

そばにあるものは、あったものに変わり、そばにないものは、なかったものに変わる。それだけが全ての根源である。

だからといって、何を悲しむ必要がある。何を笑う必要がある。その存在を認め、受け入れて初めて、僕らは時間の流れに逆らうのだ。


・・・と、書きながらコーヒーをすする。ああ、分かったようなふりをまたしていると、ボクはため息をつく。

カレはもうそばにいない。朝だけがそばにあった。