行く末 | セピア色の心電図

行く末

生まれたのは、東北のある港町。

潮の匂いと、人々の黒く日焼けした肌と、健やかな笑顔だけが今は思い出せる。

その場所で、僕は15歳まで過ごした。

なんなら、美しいの初恋の思い出や苦い青春の汗について語れる事はあった。でも、その事はまた別の機会にしよう。


僕がその港町を離れ、東京から30分ほどの郊外に引っ越したのは、父親の仕事の関係だった。

その頃には、都会への憧れも少なからずあったし、いつか都会で一旗挙げてやるくらいの気概は持っていた。田舎の16の少年なんて、みんなそんなもんじゃないだろうか。


僕もその一人だった。


地元の進学校へ僕は進んだ。高校へはすぐになじんだ。周りもまた、様々な中学から入ってきたメンバーだったので、妙なコミュニティは最初からなかった。みなゼロだった。


僕はそこですくすくと育つ。すくすくと成長する。


そう。あの日までは。